第4回
「戦友」
『 KBS WORLD Guide 』をお読みの皆様、暑さ寒さも彼岸まで、という言い回しは韓国語には無いのですが、このコラムを目にするのはちょうど秋のお彼岸ころですね。9月から 10月にかけては韓国でも何かと行事が多いのです。秋夕(旧暦 8月 15日)しかり、そして 10月 1日の「国軍の日」しかり。おや、今回の出だしはいきなりテレビから離れてますよ。今月は『戦友 전우[ チョヌ ]』から。
びくつくんじゃない。そうだと敵が2倍に見えるってもんだ。
겁먹지 말아. 그럼 적이 두배로 보이는 법이다.
[ コンモクチ マラ. クロム チョギ トゥーベロ ボイヌン ポビダ. ]
朝鮮戦争における韓国軍の相手は朝鮮人民軍だけではありませんでした。中国人民軍も敵に回ります。これがまたとにかく多いんですね。後から後から押し寄せて来て、韓国軍は占拠した陣地を包囲されてしまいます。そして激しい戦闘。びくつなかくたって、二倍どころかもっと相手側が多いのですが、そんな状況でのチェ・スジョンの台詞です。二倍におさえたところが、さすが冷静な部隊長。
命令にもいろいろあって、「~지 말아. [ チマラ ]」は俗に禁止命令と言われるものです。「~するな。やめろ」ですね。末尾の「 말아 [ マラ ]」部分のバリエーションは豊富です。並べてみますよ。~지 마십시오. [ チ マシプシオ ]、~지 마세요. [ チ マセヨ ]、~지 말아요. [ チ マラヨ ]、~지 말아라.[ チ マララ ]、~지 말아.[ チ マラ ]、~지 마라.[ チ マラ ]、~지 마.[ チ マ ]などなど。長い方が丁寧で、短くなればなるほどぞんざいな感じになります。「やめてください→やめろ→やめて」の如し。綴りが違っていても読み方は同じというのもありますが大勢に影響はありません。お使いになる場合は最初の3つくらいが無難です。一応丁寧さは保たれてますから。仲良しさん同士だったら「やめてよ~。하지 마.[ ハヂ マ~ ]」のように最後を長く伸ばして甘えた感じを出すのもありでしょう。
「 ~는/ㄴ 법이다[ ヌン/ン ポビダ ]」は、「一般的にそういうものだ」のように、ものの相場がそうなっていることを表す文型です。筋道に沿って考えれば、まあだいたいそうなってるよ的なことを教え諭すように言ったりする時に使えます。「上には上があるものだ。기는 놈 위에 나는 놈이 있는 법이다.[ キヌン ノム ウィエ ナヌン ノミ インヌン ポビダ. ]」のような、そりゃそうだろうと聞く方も納得できる内容を述べることが多いみたいですね。そういうものです。그런 법이에요.[ クロン ポビエヨ. ]
いくら辛く悲しい映像を見ても、お腹は減るし眠くもなります。배는 고파지고 잠도 오는 법이에요.[ ペヌン コッパジゴ チャムド オヌン ポビエヨ. ] でも、それで良いのです。それが生きてるっ
てことですから。さあ、落ち込まないで一緒にテレビでも見ましょうか? 자, 기죽지 말고 텔레비전이나 같이 볼까요?[ チャア, キジュクチ マルゴ テルレビジョニナ カッチ ポルカヨ?]
(『 KBS WORLD Guide 』2010年10月号掲載分より転載)