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第3回「お魚編」
第3回「お魚編」
「韓国のスーパーマーケットのチラシ徹底解剖週間」、第3弾は「お魚編」です。
海に囲まれた朝鮮半島。魚も豊富な地域です。そんな魚喰い野郎どもはどんな特売に群がるのでしょうか。今日は魚が安いよ!
本週間の目的と対象および方法、取扱店舗についての詳細は「お肉編」を参照のこと。

韓国のスーパーマーケットのチラシ徹底解剖週間
−お魚編
LOTTE super 롯데 슈퍼 ロッテスーパー
영남점 嶺南店
2010.10.6(水)〜2010.10.12(火)

初級までの朝鮮語・初級から先の朝鮮語「韓国のスーパーマーケットのチラシ徹底解剖週間−お魚編

수산  1,990
생 오징어 (마리)
1,250
낙지 (대 / 100g)
침조기 굴비
(10미 / 두름)
9,900
온 가족이 드셔도 충분한 사이즈!
생 고등어 (대 / 마리)
2,990
2,490
삼치 (대 / 마리)
7,980
볶음용 멸치
(300g / 박스)
풀무원
미니도시락김 (32봉)
4,990
※表が隠れている場合はスワイプしてください。

水産  1,990ウォン
(約147円)
生イカ (一匹)
1,250ウォン
(約93円)
真ダコ (大 / 100g)
イシモチ干物
(10尾 / 束)
9,900ウォン
(約733円)
家族全員で食べても十分なサイズ!
生サバ (大 / 一尾)
2,990ウォン
(約221円)
2,490ウォン
(約184円)
サワラ (大 / 一尾)
7,980ウォン
(約591円)
炒め物用ジャコ
(300g / 一パック)
プルムウォン
ミニお弁当海苔
(32袋入)
4,990ウォン
(約369円)
※表が隠れている場合はスワイプしてください。


  • 参考として、1,000ウォン=約74円のレートで換算した日本円による価格を附した。小数点以下は四捨五入した。為替レートは2010年12月中旬のものである。
  • 생 : [ 生 ] 。読んで字の如く、生である。言わずもがなであるが、生きているわけではない。
  • 대 : [ 大 ] 。大振りのものという意味であろう。同音で [ 対 ] という助数詞は「二つでペアになっているもの」を指すが、このチラシの場合はやはり [ 大 ] 。写真を見て「二尾(二匹)でこの値段」と判断してはいけない。
  • 오징어: おそらくスルメイカと思われる。日本は世界屈指の水産資源消費国と言われる。単純な数字ならば中国やインドネシアが上回るが、人口比率を考えればたしかにそうでもあろう。そしてまた韓国も多くの魚を食す国である。特筆すべきは、イカ・タコの漁獲量である。2007年の統計だが、日本のイカ・タコの漁獲量 391,980 トンに対して、韓国は 432,752 トンとなっている。日本海(韓国では 동해 [ 東海 ] )は世界有数のイカ漁場とされている。タコについてはつまびらかではないが、イカのほうが相対的漁獲量は多かろう。韓国こそ世界有数のイカ消費国である。
    参考→ 統計局ホームページ / 世界の統計 第4章 農林水産業「水産物生産量-種類別」
  • 마리 : 人間を除いた生物全てに適用可能な助数詞。匹、頭、尾、羽、杯...など、大型動物から昆虫までをカバーする。「頭部、頭」を指す朝鮮語の 머리 から来ているものと思われる。
  • 낙지 : 真ダコ。ミズダコは 문어 である。タコの躍り食いに供されるのは 낙지 である。산낙지(生きた真ダコ)と称する。このチラシのものは、生ではあっても生きていないので、おそらく加熱用であろう。
  • 침조기 : イシモチ。ただし朝鮮半島近海で獲れるものではなく、多くは大西洋沿岸での遠洋漁業によって供給される近縁種である。イシモチを意味する 조기 に 침(原義不詳)を冠して「イシモチの仲間」であることを消費者に訴えようとした名付けであろう。元来、朝鮮におけるイシモチの地位は高い。とくに干物は後述の 굴비 と呼ばれ、高級な進物などにも使われる。その他にも煮付けなどにして食べることもあるが、高級魚であるために、需要はあっても真性のイシモチの供給は不足しがちであったようだ。そこに目をつけた生産者側が、イシモチ類似の名を付けて、近縁ではあっても他種の魚を売り出したものである。日本においてもムツではないムツ類似の魚(現在ではメロと表示することが義務づけられている)を販売しているのと相同である。韓国ではこの 침조기 を 긴가이석태 のように種名で呼ぶことを推奨しているようだが、耳で聞く印象による味覚への訴求度合いの問題もあり、呼び換えは普及していないであろうことは本資料からも見て取ることができる。
  • 굴비 : イシモチの干物。十尾ずつをまとめて連なるように縛り、干し柿のような状態で干したもの。韓国近海で獲れるイシモチを使用した 굴비 は高級品である。
  • 두름 : 野菜ならば十本で、魚ならば二十尾で 한 두름 。ただし本資料におけるものは「十尾で 한 두름 」のようである。助数詞の使用における混乱が垣間見える。
  • 멸치 : カタクチイワシ。日本における袋入りのジャコ(そのまま囓ったり、ダシを取るために使う)にあたる。朝鮮では、基本の総菜( 밑반찬 )として、甘辛く炒めたものが欠かせない。멸치 は韓国でもダシ用にもその多くが消費されており、瓶入りの「 멸치에키스(ジャコエキス)」なども普通に買うことができる。
  • 치 : 치 は「ちっぽけなもの、卑小なもの」を指す。小石( 자갈치 )の如し。大型、中型、小型を問わず魚の名前にも使われ、本資料では 멸치 (カタクチイワシ)、삼치 (サワラ)がこれに該当する。他に一般的な魚では、꽁치 (サンマ)、참치 (マグロ)、갈치 (タチウオ)、넙치 (ヒラメ)、날치 (トビウオ)がある。淡水魚では 가물치 (雷魚)がある。
  • 풀무원 : 韓国の健康食品メーカー。1980年初頭から一貫して有機栽培を基本とした食品販売を手がけている。풀무 は鍛冶職人が使った「ふいご」、원 は [ 園 ] 。「夾雑物を取り除くために金属を叩いて鍛える鍛冶職人に欠かせないフイゴ」のように、食品も自然のままで供給したいという願いと、そこに「農園」の「園」を附したのが社名の由来であるとのこと。
  • 박스 : box 。ボックスであるが、つまり「パック」のことである。
  • 충분한 :形容詞 충분하다 [ 充分−− ] (十分だ、充分だ)の連体形。「じゅうぶん」は、朝鮮語では [ 充分 ] という漢字語であり、 [ 十分 ] は時間を指す。混乱を来さないよう十分な注意が必要であろう。

 冒頭、「今日は魚が安いよ!」などと謳ってしまったが、安いとまでは言い切れない。せいぜい「適正価格」程度のものであろう。本資料を日本在住歴が長く、韓国の食品事情に詳しい朝鮮語話者に見せたところ、その反応は「高いなあ...!」というものであった。やはり特売にもかかわらず安値感は無い。「タコは安いかな」という第一感があるが、あくまで 100g 当たりである。一匹ならば、けっこうな値段であろう。サバにしても本当に「家族全員で食べても十分なサイズ!」なのか検証が必要である。スウェーデン辺りからの輸入物の可能性も捨てきれない。

 サバとサワラの写真の向きにご注目願いたい。頭が右(北を上と見なすならば東)を向いているのがわかるであろう。日本では、魚を食卓において供する際は、頭を左に向けるのが一般的である。本資料はあくまでスーパーのチラシであるので一概に断言はできないが、朝鮮における儒教式の祖先の祭祀 [ 제사 ] や、節句(旧暦の元日や 8月15日)の茶禮 [ 차례 ] では、魚は「동두서미 [ 東頭西尾 ] 」、すなわち頭を東(右)に向けて配置することになっていることを述べておく。

 サワラについての言及が漏れてしまった。管理者はサワラが好みではない。韓国におけるサワラの旬がどの季節かは知らないが、大きさの関係もあろうが、サバよりも安いところをみると、10月はサワラの旬ではないのであろうかとも思われる。(2010.12.25)

 次回は「フルーツ」の予定。

初級までの朝鮮語・初級から先の朝鮮語 文 ◉ 白宣基 ( 백선기 ペク・ソンギ )
韓国語学習サイト「初級までの朝鮮語・初級から先の朝鮮語」の管理者、韓国語クロスワードパズル作家、在日本韓国YMCA韓国語講座主任講師。少し的を外した視点がかえって的を射ているという授業を得意としている。
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