12.終声の流音 [ l ]
終声の流音
[ l ] は英語のものより舌先の位置がいくぶん口の奥寄りになります。上の歯の裏に舌先を当てて、そのまま舌先を離さずに舌全体を奥に引っぱるようにスライドさせながら発音します。多少くぐもった感じがしないでもありません。
仮名を振るとすれば小さな「」か、開き直って「ル」とするしかありませんが、日本語の「ル」のように舌先を弾く(「弾音」と言います)ことはしません。
終声の流音
[ l ] にもそれぞれ該当する子音字が複数あります。単語ごとに覚えるしかありませんが、多くありませんので心配無用です。
終声の流音
[ l ] の後の平音の子音字 ㄱ・ㄷ・ㅂ・ㅈ は
[ g ]・[ d ]・[ b ]・[ dʒ ] のように濁って(濁音)で発音されます。
ただし、朝鮮語には漢字語が多いのですが、漢字語の語中において終声の口音
[ l ] の後の ㄷ・ㅅ・ㅈ の子音は濃音で発音されます。詳しくは「
漢字語の語中の平音と ㅅ の濃音化1」を参照してください。
該当する子音字:ㄹ ・ ㄼ ・ ㄽ ・ ㄾ ・ ㅀ
日本語の「ル」のように舌先を弾かない、舌先を離さない、これに尽きます。
舌先を上の歯の裏、すこし奥寄りに押しつけて呼気を出します。舌先は反らせません。
舌の両側を呼気が流れるので「舌側音」とも言います。
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발 [ pal ] 足
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물 [ mul ] 水
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서울 [ sɔul ] ソウル
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갈비 [ kalbi ] あばら
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여덟 [ jɔdɔl ] やっつ(数)
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돐 [ tol ]※ 周年
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핥다 [ halʔta ]※ 舐める
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짧다 [ ʔtʃalʔta ]※ 短い
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싫다 [ ʃiltha ]※ いやだ
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빨리 [ ʔpalli ]※ はやく
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얼른 [ ɔllɯn ]※ すばやく
※ ㄹ と ㄹ が隣り合っている場合は 二つ目の ㄹ も [ l ] で発音します。「パリ」「オルン」ですが、舌先を離さないのがコツです。
朝鮮語の音に惹かれて学び始めたと言う人もいらっしゃいます。なかんずくこの ㄹ の音に惹かれてという方も少なしとしません。男性が発声するにしても、女性が発声するにしても、たしかに韓国語話者の ㄹ の音はいわく言い難い魅力があります。発音する人にもよりますが。
朝鮮語を学び始めの方の中で、この流音が「まるでウと言っているように聞こえる」と感じる人もいます。終声ですから母音は混じっていないのですが、破裂音でもなく鼻から抜ける鼻音でもなく、また摩擦音でも破擦音ないこの音は、たしかに「くぐもったウ」のように聞こえなくもありません。
日本語には見当たらない音ですので、舌先をああしたりこうしたり、たくさん聞いて練習するしかなさそうです。上手に発音できた暁にはサクランボのヘタを口の中で結べるなどの効果があるかもしれません。
以上で【基礎編】は終わりです。
終わりにあたり、終声の子音字について補足いたします。