上の表をご覧になってお気づきになったでしょうか。終声の子音字としての
ㄼ は
[ p ] と
[ l ] の二通りがあります。
「 踏む 밟다
[ paːpʔta ] 」ならば
[ p ] 、「 여덟 八つ
[ jɔdɔl ] 」ならば
[ l ] です。
あまつさえ「 踏む 밟다
[ paːpʔta ] 」は、
[ paːlʔta ] と言う朝鮮語話者もいます。かててくわえて、
[ paːlpʔta ] のように両方発音されることもあります(民謡など)。
いささかレアなケースを挙げましたが、やはり基本的にはどちらか片方がメインです。
ここでしつこく迫ります。
なぜ片方しか読まないのに二文字書くのかですが、後ろに母音が来た時は、両方発音されるため、表記の上でも二文字を残しているとお考えください。詳しくは「
終声の初声化」をご覧ください。
言語というか言葉は、あくまでも「音」と「意味」が先。「表記」は後付けの理屈です。だからこそ、字の読み方を覚えると「音」と「意味」を覚えられるのです。
ただし、外国語としての言語に限ります。母語は先に「音」と「意味」を覚えるはずです。また、「音」と「意味」から覚えた外国語は総体として見れば、おそらくごく狭い範囲のことだけ、あるいは覚える効率が良くないと思われます。「音」からも「表記」からも、両方のチャンネルから同時に覚えていくのがよろしいかと思います。耳で聴いて覚えた単語は書いてみる、目で見て覚えた単語は手で書いて口に出して言ってみる。
誕生からほんの数百年余りのハングル文字。まだまだ若いハングル文字を使う朝鮮語はこれが可能です。同じ「子音字−母音字」の文字体系を使っている、例えば英語あたりではなかなか困難なことになるでしょう。上達の近道、決め手はこれです。
以上が【発音の特効薬 − 基礎編】の結論で、「 踏む 밟다 」には困ったなあというのが管理者の感想です。
引き続き
【発展編】にお進みください。