朝鮮語の文の種類をここでは4つとしてみます。
上称形 합니다体 |
略待上称形 해요体 |
下称形 한다体 |
パンマル 반말 |
上称形は目上の人にものを述べることを意味する呼び名ですが、かしこまった丁寧語という捉え方で良いでしょう。ほぼ日本語の「敬体、ですます体、ですます調」に該当するでしょう。
良く言えばかしこまって折り目正しい印象を、悪く言えば杓子定規だったり、みずくさい印象を与えるでしょう。丁寧さをきちんと保った丁寧な物言いですので、まずはこの上称形で押し通すのが無難です。
韓国では합쇼체と呼び、日本では합니다体と呼ぶこともあります。
書き言葉と話し言葉の両方で使います。
上称形 합니다体 |
略待上称形 해요体 |
下称形 한다体 |
パンマル 반말 |
略待上称形は、丁寧さはぎりぎり保持しつつフランクさを併せ持った待遇表現です。「‘やわらかい’ですます体」といったところです。
丁寧語であるのは間違いないので失礼ではありませんが上称形に比べてよく言えば物柔らか、悪く言えば馴れ馴れしい感じが無くもありません。
旅行者が使うならば、日常的な会話では上称形と略待上称形を交えるのが良いでしょう。
韓国では해요체と呼び、日本では해요体と呼ぶこともあります。
書き言葉では使用せずに、話し言葉だけで使います。
上称形 합니다体 |
略待上称形 해요体 |
下称形 한다体 |
パンマル 반말 |
下称形は目下の者にものを述べることを意味する呼び名ですが、ここでは大きく日本語の「常体、である体、である調」に該当すると考えてかまいません。
格調高い表現としても使いますし、日常の会話でも使います。
この下称形は単体で使うのはもちろん、間接話法の土台ともなる大切な待遇表現です。他の待遇表現よりも幅広い局面で使用されるとも言えるので重要です。
韓国では해라체と呼び、日本では한다体と呼ぶこともあります。
書き言葉と話し言葉の両方で使います。
上称形 합니다体 |
略待上称形 해요体 |
下称形 한다体 |
パンマル 반말 |
パンマルは「반 [ 半 ] + 말(言葉)」という造語です。用言はふつう何らかの語尾がついて活用されますが、このパンマルは原則として第 Ⅲ 語基が裸のまま(あるいは0個の語尾がついて)使われることからの名付けです。
日本語のいわゆる「タメ口、タメ語」に該当します。丁寧さはまったく無く、友人や家族同士など気の置けない間柄で日常的に使われます。
韓国では해체や반말と呼び、日本では해体と呼ぶこともあります。
書き言葉では使用せずに、話し言葉だけで使います。
じつは待遇表現には上記のほかに「中称」と「等称」というものもあります。
弊サイトでは詳細には扱いませんが、簡単な説明を下記に付します。
「中称」は「かたい-ていねい」のカテゴリに入るのですが、上称形が目上の人に向けた文末表現であるのに対し、見知らぬ人に向けて社会的な一定の礼儀を保った文末表現です。
母音語幹とㄹ語幹につく Ⅱ '-오、子音語幹につく Ⅰ -소が代表例です。一部の慣用的な表現(行かないでおくれ 가지 마오)、語尾の一部( Ⅱ '-십시오の오)などに痕跡が残っています。夫が妻に一定の敬意を持って話しかける場合に使うという説もあります。時代劇などで耳にすることもあるでしょう。
韓国語では하오체と呼びます。
「等称」は「やわらかい-非ていねい」カテゴリに入るのですが、パンマルほどくだけておらず、気心が知れた相手に「~したまえ、~なのかい?」のような文末表現です。
Ⅰ '-는가や Ⅱ '-ㄴ가、 Ⅰ '-네などの語尾があります。現在では요をつければ略待上称形(해요体)、요がなければパンマルとみなすのが妥当でしょう。
以下、文の種類と補助語幹ごとに4つの待遇表現をまとめました。
それぞれの文は尊敬や過去、意思推量や否定の語尾と組み合わせがあります。
否定 Ⅰ -지 않다や禁止(中止)の Ⅰ -지 말다については、文型(名詞や連体形と用言が組み合わさって基本形で終わるユニット)全体の代表としても参照できます。